村松啓市より2020年 年末のごあいさつ


いつも私たちのブランド、そして活動を応援してくださっている皆様、ありがとうございます。

静岡県島田市にある私たちのアトリエ兼ショップも、年内最終営業日を迎えました。今年も1年いろいろなことがありましたが、多くの方に支えていただき、1年前には想像できなかったほど、自分たちの活動が広がったと改めて実感しています。

2011年3月、東日本大震災が起こったとき、私は東京青山に、現在の【muuc:ムーク】や【AND WOOL:アンドウール】の前身となるショップ【青山ニッティングワークス】の店舗を構えていました。

都内で行われるコレクションショーなどにも参加し、ファッション業界の最先端のブランドがひしめき合う中で戦っていました。活動する中で、とてつもない速さで動かざるを得ない業界に疑問を感じ始め、震災をきっかけに疑問が確信に変わり、青山の店舗や当時のアトリエを引き上げて、拠点を地元静岡に移しました。

数年後、茶畑に囲まれた山間に小さなアトリエ兼ショップを作り、ニットブランド【AND WOOL】を立ち上げて、糸の販売をするところから始めました。 

ニットやファッションの、楽しさや可能性を広げていきたい。そして、一部の特別な人のためのファッションではなく、子供からお年寄りまで、男性も女性も、どんな立場や環境で過ごしている人にも、みんなにとって優しいブランドを目指したい。

そんな思いで製品作りをしながら、全国各地でワークショップを行う活動などもしてきました。一昨年の夏にはクラウドファンディングにも挑戦し、在宅ワークを必要とする人や、就労支援事業所さんに仕事を提供する「雇用創出プロジェクト」の活動も、たくさんの方に知っていただくことができました。

その年の秋にはファッションブランド【everlasting sprout:エヴァーラスティングスプラウト】を【muuc】に改名し、工場の職人さんたちの高い技術に支えられて、私もファッションデザイナーとしての次のステージに進む決意をしました。 

そんな矢先の今年のはじめ、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がりました。

全国各地を回っていたワークショプもすべて中止。新ブランド【muuc】のシーズンコレクションの展示会なども開催できず、お取引のある全国の販売店さんも大きな打撃を受けました。

私たちの活動を知ってくださった、在宅ワークを必要とする方や就労支援事業所さんから、「お仕事をしたい」とせっかくお問合せをいただいても、思うように仕事を作ることができず、自分たちの力不足を感じました。
今のまま活動を続けることは、もうできないのではないかと、何度もくじけそうになって周囲の人に弱音を吐いて、心配をかけたこともありました。

そのような状況の中で、この夏再び挑戦したクラウドファンディングでは、予想を上回るご支援をいただくことができました。細々と始めた私たちの活動を、さらに多くの方に知っていただけたおかげで、少しずつ私たちの商品を扱ってくださるショップも増えました。

ずっと応援してくださっているショップさんたちに加え、今年は「中川政七商店」さんが東京GINZA SIXで1ヶ月間の期間限定POPUP SHOPを開いてくれました。そして、日本の手仕事・暮らしの道具店「コトゴト」さんが、私たちの製品を取り扱ってくれるようにもなりました。

秋には「無印良品」さんが取材に来てくれて「くらしの冊子 瓢々(ひょうひょう)」の中で紹介してくれたりもしました。

今年は、苦しいこともたくさんありましたが、いいこともたくさんあった1年だったと、改めて振り返って思っています。この気持ちを忘れずに、来年はより良い年になるように精進したいと思います。

まずは良い環境を作ることからだと思うので、そのために準備していることがあります。年末年始で準備を整えて、新年に皆様にご報告できるように頑張りたいと思います。

この1年、応援してくださった皆様にお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。来年も、皆様にとって幸せな1年になりますように。これからもどうぞよろしくお願い致します。



ファッションブランド「muuc」
ニットブランド「AND WOOL」
スタッフ一同
代表 村松啓市